遺産分割シミュレーション  

 被相続人は原則として遺留分(通常は法定相続分の1/2)を侵さない限り、遺言で自分の財産を自由に処分することができます。

 また遺言書がない場合には相続人間で話し合って各人の相続分を決めることになりますが、この場合に民法で定める法定相続分どおりに遺産分割する必要はありません。

 たとえ遺言書があっても、それによらずに遺産分割することも可能です。遺言書を書いた時期が比較的古く、その後に不動産を買い増したとか、いろいろ状況の変化があると遺言書とは異なる分け方のほうが良い場合もあるのです。

 ところで配偶者がご健在の場合、配偶者とお子さんでどのように分けるべきか迷うことがよくあります。

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 特に生前の相続対策が不十分な場合、2次相続で大きく節税したいところですが、そのようなケースではあえて配偶者の相続分を多くすることがあります。

 そこで配偶者の相続分を少なくすることがよくあります。
 このような状況下、1次相続において配偶者がどれほどの財産を相続したら1次と2次の税額合計が一番少なくなるのか検討するために専用ソフトを作ってシミュレーションしたことがあります。 それによると財産の額や配偶者自身が既に所有している財産の額などによって相違はあるものの、だいたい40%前後が底になりました。

 ただし、これはあくまで今の相続財産が将来も変わらないという前提で初めて成り立つものです。

 2次相続まで時間的余裕があり、いろいろな節税対策を実行できる状況では配偶者の相続分を多くしたほうがトータルでは有利になります。1次相続で配偶者の税額軽減を目一杯使い、2次相続では様々な対策を実行して相続税を安くできるからです。

 一方、時間的余裕も対策の余地もあまりないようであれば上記のようなシミュレーションを参考にして遺産分割するのが良いのではないかと思います。