相続において大切なことは相続人の皆さんが特に不公平感を持たず納得のいく分割を実現し、先代から受け継いできた財産をスムーズに次の世代に受け継がせていくことです。
 そのためには「節税」、「納税」、「遺産分割」の3つの課題を全て考慮に入れ、バランスよく解決しなければなりません。
 そこで我々の事務所がどのようなスタンスでこれらの課題に取り組んでいるのか、簡単にまとめておきたいと思います。
 このような点に注意しておけば調査対象に選ばれる可能性はかなり低くなります。

 ところで相続税の申告手続きを、たまにご自分で申告される方もいます。
 報酬を支払うのがモッタイナイということでしょうが、税務調査の対象として選ばれやすいだけでなく、節税できるのにウッカリ、ということも考えられます。
ウッカリ


  節税

通常の所得税や法人税の分野では税理士によって納税額にそれほど大きな差は出ません。
ところが相続の分野では驚くほどの税額差となって現れることが多いのです。


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 その理由を考えてみると、ほとんどの会計事務所は法人の顧問先を数多く抱えており、また確定申告時期には仕事で忙殺されています。
したがって相続税の申告業務を積極的に取り組んでいく余裕がなく、顧問先の社長等、関係のある相続案件を年に数件ほど仕方なくこなしているというのが実態です。
ご存じのように税法というのは毎年のように改正されているので、どうしても主力業務である法人税や所得税の勉強に時間を取られ、相続に関する勉強は通り一遍のものに限られるのです。

こうした状況下では税務署から間違いを指摘されないような申告書を作成することが主眼となり、節税に繋がるような提案をすることはほとんどありません。
そうした申告書であれば税務否認を受けることもありませんし、そもそも税務調査すらない可能性があります。
「相続税の還付申告」が流行っているのも本来であればもう少し納税額を抑えられたにもかかわらず、わざわざ税額の高い申告書を作成しているからです。

残念ながら税理士業界はこうした憂慮すべき状況にはありますが、可能な限り納税額を抑えることが税理士の使命であることに変わりはありません。

この当然の使命を発揮すべく鹿谷会計事務所では様々な研修に出席して勉強することはもちろん、著名な不動産鑑定士等と提携して納税額を抑える努力を日夜続けております。


  納税

相続税は現金で一括納付するのが原則です。
もし納税資金が不足する場合には分割納付したり(延納)、金融機関から借金して納付することもあります。
また不動産を売却して一括納付することもありますが、不動産が減ることを極力嫌い、一部売却・一部借金(あるいは延納)といったように組み合わせることもあります。

そして、その時の不動産市況によっては不動産そのもので納税することもあります。
これを物納と言いますが、物納というのは相続税評価額そのものが収納価額(納税額)となりますので、現在のように時価と相続税評価額が乖離している状況では物納はあまりお勧めできません。




 いずれにしても納税額が多くなりますと、納税計画の良し悪しがその後の生活に重大な影響を及ぼしますのでジックリと検討する必要があります。

我々の事務所では専用のシミュレーションソフトを自社開発して万全の態勢を整えておりますので判断が付きかねた場合にはいつでもご相談ください。


  遺産分割

被相続人は原則として遺留分(通常は法定相続分の1/2)を侵さない限り、遺言で自分の財産を自由に処分することができます。

また遺言書がない場合には相続人間で話し合って各人の相続分を決めることになりますが、この場合に民法で定める法定相続分どおりに遺産分割する必要はありません。

たとえ遺言書があっても、それによらずに遺産分割することも可能です。
遺言書を書いた時期が比較的古く、その後に不動産を買い増したとか、いろいろ状況の変化があると遺言書とは異なる分け方のほうが良い場合もあるのです。

ところで配偶者がご健在の場合、配偶者とお子さんでどのように分けるべきか迷うことがよくあります。


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特に生前の相続対策が不十分な場合、2次相続で大きく節税したいところですが、そのようなケースではあえて配偶者の相続分を多くすることがあります。

ご存じのように1次相続では配偶者の税額軽減特例により配偶者が相続した財産のうち法定相続割合(子供がいる場合は1/2)か1億6,000万円のいずれか多い額までは相続税がかかりません。
ところが2次相続ではこうした特例がありませんので何も対策をしなければ、その時点でウンと課税されるのです。

そこで配偶者の相続分を少なくすることがよくあります。 このような状況下、1次相続において配偶者がどれほどの財産を相続したら1次と2次の税額合計が一番少なくなるのか検討するために専用ソフトを作ってシミュレーションしたことがあります。
それによると財産の額や配偶者自身が既に所有している財産の額などによって相違はあるものの、だいたい40%前後が底になりました。



 ただし、これはあくまで今の相続財産が将来も変わらないという前提で初めて成り立つものです。

2次相続まで時間的余裕があり、いろいろな節税対策を実行できる状況では配偶者の相続分を多くしたほうがトータルでは有利になります。
1次相続で配偶者の税額軽減を目一杯使い、2次相続では様々な対策を実行して相続税を安くできるからです。

一方、時間的余裕も対策の余地もあまりないようであれば上記のようなシミュレーションを参考にして遺産分割するのが良いのではないかと思います。

以上は遺産分割における一つの場面ですが、相続対策を余りやったことのない方に相続税の申告を依頼すると、こういった点を無視した遺産分割の提案がなされる可能性がありますので十分ご注意ください。