「三代の相続で財産は無くなる!」は本当か?

 私は独立以来、様々なシミュレーションソフトを作成してきましたが、その理由は次々と生じる疑問点とかお客様からの質問、あるいは常識とされている事柄に対して数値で実証したいという強烈な衝動に駆られるからです。
 例えば、「三代の相続で財産は無くなる」とよく言われますが、果たしてそうなんだろうかと疑問が湧いてきます。
 そこで今回、実際にソフトを作ってシミュレーションしてみた結果、次のようになりました。計算の前提条件は次のとおりです。
<10億円の財産が三代の相続で残った財産
相続ごとの
地価上昇率
長男が全ての財産を
   相続するケース
兄弟間で均等
   相続するケース(※)
金額ベース
土地の面積
   ベース
金額ベース
土地の面積
   ベース
100%
約 10億円
約 5,000u
約 2億円
約 1,000u
(※)本家相続人の兄だけの財産です。

 若干解説しておきます。本家が全ての財産を相続するケースで相続ごとの地価上昇率が100%の場合、つまり20〜30年の相続ごとに土地の時価が2倍になる場合には、10億円の財産はほとんど減らないのです。
 ところが、土地の面積は20,000uから5,000uに減少します。
 一方、兄弟間で均等相続するケースでは金額ベースで10億円のものが2億円に、土地の面積は20,000uが1,000uに急減します。

 20,000uの大地主が1,000uの地主になるわけですから、やはり「三代の相続で財産は無くなる!」は事実なのです。

 それではなぜ、このように財産が無くなってしまうのでしょうか?
 既にお分かりいただけたと思いますが、財産が無くなるのは相続税だけが原因ではないということです。
 もっと影響の大きいのが戦後アメリカから導入された平等主義(遺留分制度を含む)なのです。

 これ以上書いていると話がトンデモナイところまで進んでいきそうなので、ここらで止めます。
 
いかかでしょうか? 少しは役に立ったでしょうか? 
 シミュレーションしているといろんなことが分かってきます。正しいと思っていたことが間違っていたり、得だと思っていたことがそうでなかったりします。