大規模修繕費等について 

 分譲マンションの場合は通常、長期修繕計画表を作成し、必要資金を毎月、オーナーから修繕積立金として徴収します。ところが地主様にアパートや賃貸マンション等の建設を提案するときはそこまで厳密に計画することはありません。ただし、大規模修繕は時期が来れば必ずやらなければならないものですから、そのための資金は必ず確保しておくべきです。
 ところで、こうして積み立てた資金は分譲マンションの場合を除いて経費に算入できません。会計上、税務上はあくまで資金の積み立てに過ぎないからです。そこで、このシステムでは必要経費ではなく資金の支出として処理しています。
 なお、このシステムでは修繕積立金のみ計上するケースと、その積立金を使って実際に大規模修繕をした場合の両方のケースに対応しています。大規模修繕というと会計処理が難しく感じられるかも知れませんが、お客様の決算をしていると、ほとんどが屋上防水、外壁補修、鉄部塗装等ですから一括で経費算入できるものばかりです。
 ただし、中には資本的支出として建物や附属設備に計上しなければならないものもありますので、このシステムではそれらを分けて入力できるようにはしています。
 以下、修繕積立金と大規模修繕費の計上方法について簡単に解説しておきますので参考にしてください。

修繕積立金の計上方法
 まず要積立額としてトータルの額を計算し、それに見合う毎年の積立金を計算します。
 例えば40年間の要積立額(修繕費合計)が工事費等(1億円のケース)の10%(標準的)~15%(多め)とすると1,000万円~1,500万円になりますので、この額を40で割ると年間25万円~37.5万円となります。工事費等が4億円だと4倍の年間100万円~150万円で40年間では4,000万円~6,000万円になります。

大規模修繕費の計上方法
 次に大規模修繕費ですが、40年間の要積立額(修繕費合計)が1,000万円のケースで計算しますと、次表のようになります。
1回目を12年後とすると、工事費300万円は全額が一時経費となっており修繕積立金累計も300万円ですから資金的にも足りているというわけです。



 以上、大規模修繕費の具体的計上方法について解説してきましたが、それなりに複雑なので一般の不動産業者の方は「修繕積立金のみ計上」すれば十分でしょう。
 我々も様々な事業収支計画書を拝見しましたが、ほとんどは修繕積立金だけを計上しているか、全く計上していないか、のどちらかです。